Column

コラム

いよいよ始まったフィリピンスタートアップへの大型投資

携帯アプリで配車サービスやECを展開するインドネシアのユニコーン、ゴジェックは2019年1月、フィリピンの暗号試算(仮想通貨)決済コインズ・ドット・ピーエイチ(coins.ph)の過半数株を7,200万ドルで取得しました。

このフィリピン発スタートアップへの大型投資を受けて、フィリピンのスタートアップは俄然注目を浴びています。

また、フィリピンスタートアップに投資する内外の投資ファンドの設立も相次いでいます。中国のVC、ゴビ・パートナーズは2018年10月、地場VCのコア・キャピタルと共同で、フィリピンのスタートアップに投資する総額1,000万ドルのファンドを設立した。また、フィリピンの財閥、アヤラ・グループ(Ayala Cooperation)は5月、総額1億5,000万ドル規模のファンドの運営会社として、キックスタート・ベンチャーズを指定した。フィリピンの複合企業JGサミット(JG SUMMIT)も同月、総額5,000万ドルの投資ファンドを設立。このほか、ユニオンバンク(Union Bank)も同月、毎年総額960万ドルをフィンテックに投資する方針を明らかにするなど、フィリピンの大手企業によるスタートアップへの大型投資計画が相次いで発表され、同国発スタートアップへの投資がこれから飛躍的に拡大する可能性がある。

〜フィリピン最大級のスタートアップ・イベント、2019年は過去最高の2,000人に〜

フィリピンのスタートアップへの注目が改めて高まる中、6月24~25日にマニラで開催された同国最大級のスタートアップ・イベント「イグナイト(Ignite)」には、過去最高の2,000人以上もの国内外のスタートアップ関係者が集まった。このイベントは、電通X、スタートアップメディア会社のテックシェイク(TechShake)、地場インキュベーターのブレインスパークス(Brainsparks)が2017年から毎年開催しているものだ。初回の2017年には約500人だった参加者は、翌2018年には約1,200人、そして2019年には2,000人以上と年々増加している。

ジェトロはイベント2日目の24日、ピッチ大会を開催。格安スマホのOSを開発するアメグミ、次世代風力発電のチャレナジー、3Dプリントの義足事業のインスタリム、スマートフォンの新たな自撮りを提案するポップの日系スタートアップ4社と、スタートアップとの協業に取り組む大手企業や支援会社がピッチを行った。このうち、チャレナジーは1月、フィリピンに進出。インスタリムは地元公立病院と共同で3Dプリントの義足の実証実験を行い、6月からその義足を本格販売するなど、日系スタートアップもフィリピンでの事業展開を進めている。

ジェトロがイグナイトで開催したピッチ大会でプレゼンするポップの田沼伸彦最高執行責任者(COO)

ジェトロがイグナイトで開催したピッチ大会でプレゼンするポップの田沼伸彦最高執行責任者(COO)

イグナイトにスピーカーとしても登壇したシンガポールのVC、クエスト・ベンチャーズ(Quest Ventures)のマネジング・パートナー、ジェイムズ・タン氏は、東南アジアでの次の有望なスタートアップ投資先として、ベトナムと並んでフィリピンを挙げる。スタートアップ拠点として東南アジアで先行するシンガポールやインドネシアなどに域内では後れを取ってきたフィリピンだが、起業拠点として、そしてスタートアップの展開先として、今後の飛躍が期待されている。

MGBへのお問い合わせ

日本語学校の運営や、人材紹介・派遣
フィリピン進出、スタートアップ投資などMGBへのお問い合わせ

この記事を書いた人
Contact us

詳しいご相談はお問い合わせフォームをご活用ください